2008年03月24日

智慧を働かせよ−チベット騒乱について−

KICX0090.JPG

何しろ暴力はまずい、そう思います。中国の政策に不満を持って暴徒化したチベット族住民もそうですが、武力弾圧を未だに正当化している中国当局にもっと大きな問題があるのは言うまでもないことだと思います。

中国当局は、「内政問題」という理屈を振りかざすことや前近代的な情報統制をやめて、現状を世界に公開し、あらゆる当事者と対話をするべきです。北京五輪の成功に向けて、事なかれ主義に走るのは致し方ないことなのかもしれませんが、国際的なイベントのホスト国が国際社会に背を向ける行動を取るのがかえって逆効果なのは誰の目にも明らかです。

この点、私は、ダライ・ラマ14世の次のようなお言葉を想い起こします(4年前に東京にお見えになった際、直接お目にかかるチャンスに恵まれました。写真はその時のものです)。

すなわち、「妬み・恨み・嫉み・辛みといった『トラブルメーカー』(あらゆる問題の根源である人間の諸感情)と対峙するためには、智慧を働かさなければならない。時に、『トラブルメーカー』の前に宗教は無力である。確かに、座禅を組んだり、手を合わせたりしているときは『トラブルメーカー』は消えて無くなるかもしれないが、一度、目を開けて立ち上がれば、『トラブルメーカー』はたちどころに現れる。人間の生活から『トラブルメーカー』を消すことは出来ないが、それを抑えることは出来る。そのために智慧を働かせなさい。」というものです。

このお言葉は、中国とチベットに関する話題の中でのご発言ではありませんが(勿論、この問題に関しても色々とお話を伺いましたが…)法王の平和主義・利他精神に通底する貴重なメッセージだと思い、以来、私の中で大切にしているものです。

問題の本質は、当事者相互の歴史的で感情的な対立にある、と外から指摘してみせるのは所詮、身も蓋もないことなのかもしれませんが、当事者の『トラブルメーカー』を抑制するための徹底的な対話を行う以外に前に進む道は無いと思います。我々も親チベットとか親中国とか与野党といった立場を超えて問題の解決に向けて外交努力をするべきではないでしょうか。

法王のメッセージの後に引用するのは、大変気が引けるのですが「自由と民主主義、基本的人権と法の支配を構築する『価値観外交』を進める中で、チベットに住む人たちの人権が確保されるよう努力したい」という安倍前首相の発言は、詳細な検討はさておき、その通りだと思います。


posted by 村越ひろたみ at 18:13| 政治放談