2008年07月08日

誰が米国の首に鈴をつけられるか

洞爺湖サミットが開幕しました。さしあたって、温暖化対策ばかりが注目されていますが、国連事務総長が指摘しているとおり、世界が直面している気候・食料・開発という3つの危機は相互に連関しています。これらの課題に包括的に対処していくための合意形成と政策立案が求められています。世界の中で存在感を失いつつある日本は、このサミットで、国際社会のルールづくりのために主体性を発揮しなければなりません。

冒頭に世界銀行総裁が、トウモロコシを原料としたバイオエタノールを促進するための補助金政策を止めるべきとのコメントを発しました。農産国の輸出規制と米国のバイオマス政策が食糧価格の高騰を招いていることは誰の目にも明らかなことですから、是非とも突っ込んだ議論を期待しています。

ブッシュ政権が自身の支持基盤拡大のために、地球温暖化対策の美名のもと、トウモロコシ生産者団体へのバラマキ政策としてバイオエタノールの増産を計画したとの指摘があります。現に、08年度の米国産トウモロコシの約半分が、飼料用や食糧用ではなくバイオエタノール製造のために使われるそうです。そこに投機目的のお金が流入し、今日の世界的な穀物の高騰を招いた訳です。

米国は世界最大の穀物輸出国ですから、米国内の需給だけではなく世界全体の消費者の立場をしんしゃくする義務があります。そうでなければ、途上国ばかりか世界経済の発展も阻害することになりかねません。あるシンクタンクの調査に拠れば、世界中で穀物や油料種子を用いたバイオ燃料の生産を一時的に止めた場合、今後数年間で小麦やトウモロコシ価格は最大20%下落する可能性があるそうです。

もちろん、有限な地球資源を有効活用してエコロジーを進めていこうという地球規模での合意や取組がまず根底にある訳で、食糧問題と同時に原油価格の高騰がさしあたって大きな問題なのですから、直ちにバイオエタノールの生産を止めろという議論にはなりません。要は、トウモロコシに過度に依存せずにサトウキビやヤトロフャなどの他の原料を用いたバイオエタノールとバランスを取ることや、電気自動車に対する税制優遇措置、あるいは高排気量の車に対する課税やそうした車の生産ラインに対する課税を世界的に進めていくことを考えるべきでしょう。

地域レベルや企業単位では、米国の環境運動が世界中で最も進んでいます。米国政府がそうした取組を自家薬籠のものに出来ない筈はありません。しかしながら、当面、外交の場面において、誰が米国の首に鈴を付けられるのか、という事が問題です。この局面では議長国の日本がその適任者ということになるのではないでしょうか。内政はダメでも外交では以外な実力を秘めているかもしれません。もとより、福田首相には、石油会社に勤務されていたご経験を活かして頂きたいと切に思います。


posted by 村越ひろたみ at 16:43| 政治放談