2008年09月17日

コンクリートからヒトへ

出産時における経済的な負担を軽減するために公的医療保険から支給される出産一時金という制度があります(我が家もお世話になりました)。先週末の報道に拠れば、来年度から支給額が35万円から38万円に「増額」される事が決まったそうです。一見、適切な方向に向かっているように思えますが果たして本当にそうなのでしょうか。

出産にかかる費用は4〜50万円程度が平均だそうですから、それに少しでも合わせるための上方修正なのかと思いきや、産科医療保障制度(産科医が妊婦一人につき3万円の掛金を原資に充てる設計)が新設されるにあたり、その掛金分が妊婦の出産費用にいずれ上乗せされることに先回りして対応する事が目的のようです。従って、実際問題としては額面の「据え置き」という評価が適当です。

妊婦の経済的負担は何も出産時点でまとめて発生する訳ではありません。通常、妊婦は妊娠が判明した時点で妊婦検診に通院し始めます。妊婦検診は妊娠初期から出産までに月に1,2回程度受けるのが通常です。もちろん、妊婦は病人ではありませんから、健康保険が適用されず、全額自己負担となります。

かねてから主張してきたことですが、出産した後ではなくて、妊娠を産科医が証明し出産準備に入った時点で公的支援をするべきではないでしょうか。安心して子どもを産んで育てることができる環境を整備できなければ制度の趣旨が埋没しかねないばかりか、有効な少子化対策にはなりません。

制度を改正するにあたっては、国民が制度を利用しやすいように変えていかなければ意味がありません。高額医療費控除制度が利用できるから十分だ、という意見もあるかもしれませんが、若い夫婦が前もって出産にかかる費用を準備することはなかなか難しいことです。

厚生労働省が出産費用の保険適用や妊婦検診を無料化することを検討しているそうですが、是非とも実施するべき政策だと考えます。無料化を実現するとなると、財源が850億円近くかかるそうですから、この政策を実現するにあたっては何かのムダを削ることによる財源の裏付けがなければなりません。勿論、道路を今後10年間で59兆円分造り続けるなどという政策とは比べるべくもありませんが…。


posted by 村越ひろたみ at 01:01| 政治放談