
我が国の食料事情と農業の現状は極めて深刻な状態にあります。なぜならば、世界全体の食糧需給が極めて不安定であるのにも関わらず、日本は依然として世界最大の食料純輸入国である上に、我が国の農業事情が「悲惨」としか表現しようがない状態だからです。
我が国の食料自給率はカロリーベースで約40%、穀物の自給率は同じくカロリーベースでたったの28%です。さらに問題なのは、農産物輸入の多くを米・中・豪などの特定国に依存していることです。米国のエネルギー政策の転換でトウモロコシ価格が高騰したことは記憶に新しいところですが、畜産物1kgを生産するのに必要な穀物量をトウモロコシに換算すると、鶏卵で3kg、鶏肉で4kg、豚肉で7kg、牛肉で11kgのトウモロコシが必要になるといいます。食料の安全保障という観点で考えれば極めて危機的な状態です。
農業の実体はといえば、農家数・収穫量・農業所得ともに減少の一途を辿り、就業人口の約6割が65歳以上の方々で構成されており、その一方で新規就農青年数は減り続けています。耕地面積は減少し、耕地利用率も逓減しています。そこにきて耕作放棄地が激増しています。農業を農家のみなさんだけでは担いきれなくなっていることは明らかで、正に日本の農業は「液状化」しているのです。
株式会社の農業参入という取組が既に始まっていますが、現行農地法のもとでは、農業生産法人をつくるか、特定貸付事業制度を利用する他はなく、設立要件に様々な制限があったり、農地を取得することが出来なかったり、様々な手続きが煩雑で条件の悪い耕作放棄地しか入手できなかったりで、現状では、一般の企業が農業経営を十分に行える環境はありません。
来年の通常国会で農地法の改正を行い、農地の借用を自由化するとのことですが、企業の農業参入を促進して効率化を図り、食料自給率を高めるという目的を達成するには、もう一歩も二歩踏み込んだ改正が必要だと強く思います。この悲惨な状況を見るにつけ、農林水産省や農水族議員が、一体どこを向いて政策を作ってきたのか本当に理解に苦しみます。
食料自給率を上げるには、国策として農業の産業化を図らなければなりません。農業へのテコ入れを産業構造の転換の一環として捉えるべきです。そのためにまず、アグリビジネスの発展可能性と重要性を認識して、株式会社の農地取得を認めるべきです。農地や農家を守るのも大切ですが、本当に守るべきは日本の食卓です。
写真は、今朝の妙典駅の様子です。傘で手が塞がっているなか、ビラを受け取って下さった方々にはただただ感謝です。