2008年12月07日

埋蔵金と呼ぶな

特別会計(財政投融資特別会計)の準備金(あるいは剰余金)を「埋蔵金」と称して来年度予算の財源に充てようという議論が横行しています。来年度予算の財務省原案では実に8.4兆円もの準備金が流用されようとしています。

このことは、財源が足りない一方で景気対策や社会保障費に莫大な支出をしなければならない我が国の極めて厳しい現状を如実に物語っていると共に、選挙を前にして、本来しなければならない財政改革の議論を封印して、問題を先送りにしている与党の隠蔽体質をあらわにしていると思います。

「埋蔵金」というと、ポケットの中に入れておいたまま忘れ去られていた一万円札がいきなり見つかったかのような有難いもののように聞こえますが、要は、「特別会計」という複雑で不透明な制度の中でさまざまな理由によって残されている税金の一部、というのが本当のところです。そして、このお金を支出することは、実質的には借金をするのとなんら変わりはないし、この場合はむしろ、赤字国債を発行することよりもタチが悪いということを覚えておかなければいけません。

準備金を使ってしまえば、使った分のお金を再度ストックする必要が出てくる訳で、財政規律に悪影響を及ぼすことは必至です。また、赤字国債を発行する場合は、明確な「借金」として認識をされるため、納税者のチェックの視線が先鋭化しますが、剰余金の流用は納税者の目を惑わしチェック機能が機能しません。剰余金の流用が、意図的に「埋蔵金」という名のオブラートに包まれて、あたかも負担を将来に先送りせずに済むかのように語られていることは大きな問題です。

準備金を「埋蔵金」などと呼ぶのは金輪際止めて、我が国の借金体質と真剣に向き合わなければなりません。


posted by 村越ひろたみ at 15:07| 政治放談