2009年04月19日

世襲の制限を

親族から選挙区や後援会を譲り受けた上で同一選挙区から立候補することをマニフェストに盛り込む、あるいは、政党が独自に、候補者選定基準の中に世襲議員の制限を盛り込んでいくという真っ当な試みは、残念ながら永田町では一向に進む気配が見られません。

この背景には、世襲議員[全衆議院議員480名のうち、両親や祖父母を国会議員にもつ議員は131名(自民党107名・民主党17名)で、全体に占める割合は27%に上る]の多くが有力なポストを占めていて、そうした方々が反対に回っていることがあると思われます。選挙区の世襲制限に反対する論拠は、概ね二つのポイントに絞られるようです。すなわち、@世襲議員の同一選挙区での立候補禁止は、職業選択の自由を保障した憲法に反する、A世襲議員を減らすと、有能な人材が枯渇してしまう、というものです。

しかしながら、@の憲法違反との主張は、一見正論のように思えますが、そもそも、立候補自体を禁止している訳ではありませんし(別の選挙区から立候補すればよい)、多様な人材を確保し政治の信頼を回復する、という重大な目的を達成するためには、憲法違反とまではいえない(それでも違反だ、と強弁するのなら、是非とも裁判所で争ってもらいたいものです)。また、Aの、世襲議員は有力者で能力の高い人ばかりなのであって、世襲議員を排除してしまうとかえって国会の能力が低下してしまう、という議論も、政治的に無垢で有能な民間出身者が国会に入ることの方が、有能だけれども世襲の議員が蔓延っている議会よりも、よほど健全で合理的であろう、と明確に反論できるように思えます。

政治を国民に身近なものに変えていくための究極の課題は、人材の過少流動性を解消する、言い換えれば、これまで傍観していた有能な民間人を政治に取り込むことで、新しくて大胆な政策を進めていくことに尽きると考えます。しかしながら、現状では、民間人が職を辞して選挙に出るには、社会的リスクが大きすぎますし、そもそも政治が信頼されていない以上、政治家になる十分なインセンティブが無い、という大問題があります。

そうだとすれば、会社を離職せずに選挙に立候補できる制度を確立し、選挙区の世襲を禁止して、一般の方が選挙に出やすくする取組を進めると同時に、政治家を辞めやすくするインセンティブを設けて、居座る政治家を排除し、新たな人材を政治に取り込む制度をつくらなければなりません。まずは隗より始めよ、ということで、民主党は身を削る思いでマニフェストに選挙区の世襲禁止を盛り込むべきです。


posted by 村越ひろたみ at 16:37| 政治放談