福島第一原発での冷却機能喪失による原子炉機能の損傷、放射能漏出事故は、関係各位の必死の努力にもかかわらず、依然として危機的状況が継続しており、原発事故の水準としても、チェルノブイリ原発事故と同等のレベル7に至っているとの発表がなされました。放射性物質の拡散、低濃度汚染水の海洋投棄など、わが国の美しい国土が長期にわたって回復困難な形で汚染されてしまったことには、痛恨の念を禁じえません
一方で、マグニチュード7を超す大きな群発地震が続く中、なお、国内の原発の多くは稼働を続けており、国民のみなさまに大きな不安を投げかけています。
私は国政の負託を受けた国会議員の一人として、このような事態に立ち至ってしまった責任を痛感し、国民のみなさまにお詫びしなければならないと考えています。
そして私は、今般の事態を踏まえた痛烈な反省のもとに、原子力発電に対する私自身の考えを明らかにしておきたいと思います。
私は、日本列島を襲うこの連続した群発地震が一定の落ち着きを見せるまで、緊急的な措置として、特に危険と目される浜岡原発の稼働をすみやかに停止させるべきだと考えます。また、そのほかの原発についても徹底的な安全性の検証を行うべきと考えます。
その上で、今回の事態の十分な検証と反省を行い、わが国の中長期的なエネルギー政策の抜本的見直しを通じて、脱原発を明確に志向すべきです。
私はいますぐに全ての原発を停止させるべきである、との考えは取りません。それは復興へ向かう我が国経済にとって、大きな制約となりかねないからです。
しかし、日本列島の地殻が活性期に入った可能性のある現在の状況において、旧来の枠組みで設計・運用されてきた原発の運転は慎重の上にも慎重を重ねるべきであると考えます。浜岡原発にもしも福島第一原発と同様の事態が生じた場合、首都圏が壊滅状態となり、我が国の復興が著しく困難となる事態が生じかねません。ことはエネルギー政策の問題であるばかりか、国家の安全保障上の重大問題と捉えるべきです。
そして中長期的には、脱原発を基軸にすえたエネルギー政策に舵を切るべきです。その際には安易に化石燃料に頼るのではなく、化石燃料から自然エネルギーへの歴史的転換の道を、我が国が率先して切り拓く必要があります。
容易な道ではありません。しかし、この道を歩まねばなりません。
私たちの世代が負託を受けたこの日本の美しい国土を、子供たちの世代に美しいままに受け継いでいくことが、何よりも私たちの責務といえるのではないでしょうか。
私は今後、あらゆる努力を払って、浜岡原発の一刻も早い操業停止と、わが国のエネルギー政策の抜本的転換=脱原発を目指します。
共に新しい時代に向かいましょう。
2011年4月14日
衆議院議員 村越 祐民
衆議院議員 村越 祐民